教皇「家庭において福音の価値観を守ろう」
教皇レオ14世は、12月28日(日)、聖家族の祝日、バチカンでお告げの祈りを巡礼者と共に唱えられた。
祈りに先立ち、教皇は聖家族の「エジプトへの逃避」(マタイ2,13-15、19-23)をテーマに説教された。
教皇の説教の要旨は次のとおり。
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聖家族の祝日を記念する今日、典礼は「エジプトへの逃避」のエピソードを取り上げています(参照 マタイ2,13-15、19-23)。
それは、イエス、マリア、ヨセフにとっての試練の時でした。クリスマスの明るい風景に、突然のごとく、死の脅威という不穏な影が映し出されます。その脅威は、残酷で、血なまぐさい、凶暴さで恐れられたヘロデの苦悩に満ちた人生から来るものでした。しかし、まさにそうした性格ゆえに、彼は深い孤独に陥り、権力の座から追われることへの怖れにとらわれていました。
「ユダヤ人の王」が生まれたことを三人の博士から知ったヘロデは(参照 マタイ2,2)、自らの権力に対する脅威を感じ、イエスと同じ年齢のすべての男の子を殺害するよう命じました。その時、神は御国において、古い救いの約束をすべて成就させる、歴史上、最も偉大な奇跡を起こしておられました。しかし、ヘロデは自分の王位や、富、特権を失う恐れしか目に入らず、その奇跡を見ることができずにいました。
ベツレヘムには光と喜びがあります。天からの知らせを受けた羊飼いたちは、飼い葉桶の前で神を賛美していました(参照 ルカ2,8-20)。しかし、これらの光や喜びのすべては、王宮の厳重な防御を突き抜けることはなく、そこに伝わるのは、盲目的な暴力で押し潰すべき脅威の、ゆがめられたこだまでしかありませんでした。
まさにこの心の頑なさが、聖家族の存在と使命の価値をいっそう際立たせています。暴君に象徴される専制的かつ貪欲な世界において、聖家族は救いをめぐる唯一可能な答え、すなわち、完全に無償で、惜しみなく、何の要求もせず、ご自身を捧げる神の答えの、棲み家であり、揺りかごです。
そして、主の声に従順に、マリアと幼子を安全な場所へ連れて行くヨセフの行為は、その救いの意味をここに完全に現しています。エジプトにおいて、主がこの世におけるご自身の存在を託された家庭の愛の炎は、全世界に光をもたらすために、燃え上がり、勢いを増しています。
この神秘を驚きと感謝をもって見つめながら、わたしたちは自らの家族や、わたしたちが暮らす社会に家庭がもたらす光について考えます。
残念ながら、世界には常に「ヘロデ」たちが存在します。彼らは、何がなんでも成功を追い、無節操に権力に走り、虚しい表面的な幸福を求め、そのために、しばしば、孤独や、絶望、分裂、紛争といった代償を払うことになります。
これらの幻想に、キリスト教的家庭における愛の炎がかき消されることがないようにしましょう。これに対し、家庭において福音の価値観を守りましょう。すなわち、祈り、特にゆるしの秘跡と聖体の秘跡をはじめとする秘跡に与ること、健全な愛情、誠実な対話、忠実さ、簡素で堅実な生活、日々の善良な言葉と行い、といったものを大切にしましょう。わたしたちが暮らす環境のために、それは希望の光、愛の学び舎、神の御手の中の救いの道具となるでしょう(参照 教皇フランシスコ、第10回世界家庭大会のためのミサの説教、2022年6月25日)。
マリアと聖ヨセフの取り次ぎによって、わたしたちの家庭と世界中のすべての家庭を祝福してくださるよう天の御父に願いましょう。これらの家庭が人となられた御子の家庭を模範に成長し、すべての人にとって、主の現存と限りない慈愛の力強いしるしとなることができますように。