多国間協力、人間の尊厳の不可侵性を強調、教皇、世界食糧計画訪問で

教皇レオ14世は、ローマにある世界食糧計画の本部を訪問された。

 教皇レオ14世は、6月22日、世界食糧計画 (World Food Programme ・WFP)のローマ本部を訪問された。

 教皇の訪問は、WFPの執行理事会の年次会合への招待に応える形で行われた。

 レオ14世は、カール・スカウ暫定事務局長、また今月初めに任期満了で退任したシンディ・マケイン前事務局長をはじめ、理事会メンバーらに迎えられ、ホールでスピーチを行われた。

 教皇はこのスピーチで、紛争や自然災害発生時などの緊急事態において食料支援を行い、人命を救う活動に尽力する世界食糧計画の取り組みは、隣人を愛するという福音の教えのもとに、人間の尊厳を守り兄弟愛を促進するカトリック教会の使命と深く合致するものと話された。

 今日、危機が限定的な出来事から、長期にわたる紛争、慢性的な食糧不安、経済の不安定さ、気候変動に対する脆弱性の高まりといった特徴を持つ、持続的な現実へと変化していることを教皇は指摘。

 この状況は、いかなる世界秩序の構成がこのような状態を生み出し、それを繰り返し、さらには正常化させているのか、という本質的な問いを投げかける、と述べられた。

 多国間的構造の危機等を原因とする国際秩序の断片化を示された教皇は、自身の回勅『マニフィカ・フマニタス』を引用し、「諸国民の共通の運命と地球規模の共通善という理念を守るために作られた制度の弱体化」(201)を注視された。

 真の協力関係を支える共通の倫理的展望の欠如により、国際社会のあり方は多国間主義から「不信感が支配する無秩序で対立的な多極主義」(同上)へと移行し、その結果、各国は安全保障、経済成長、国内安定に財源を一層費やすようになり、これらの問題と多国間協力との密接な関連性を無視するようになった、と教皇は分析。

 こうしてかつてない世界的な生産性と極めて脆弱な地域の拡大が共存するという矛盾が生まれ、経済の推進力が時に排除や疎外を悪化させる中、人道問題の重要性は認識されながらも国際的な優先事項の中で後回しにされがちになり、人間はもはや国際行動の中心に体系的に位置づけられなくなった、と語られた。

 この意味で、世界食糧計画は、政治的、経済的、技術的な立役者にとどまらぬ、国際的連帯の具体的な表現となっている、と称賛された教皇は、実際、国家機関が後退し、地域社会のネットワークが崩壊しつつある状況下で、その存在は人道危機が引き返せない崩壊に至るのを防ぐことに貢献している、と話された。

 教皇は、多国間協力への新たな取り組みが不可欠であると強調。分断化・多極化が進む世界において、いかなる国家も単独で地球規模の課題に対処することはできず、永続的な平和と持続可能で包括的な人間開発は、すべての人々の参加と、真の国際対話と共通善を目指す協力によってのみ、可能となり促進される、と述べられた。

 このようなアプローチには、短期的な視点を超えた、グローバルな公共財への投資を可能とする揺るぎない政治的意思が求められる、と教皇は話し、兄弟愛の調和のもとに共に歩むという勧告こそが、人々を導く原理となるべき、とアピールされた。

 すべての人間が状況・境遇・社会的地位に関わらず本来備える不可侵の尊厳を改めて強調された教皇は、神の無条件かつ無限の愛に根ざした人間の尊厳という、この真理への忠実によって、わたしたちの政治の人間性、国際共同体の未来が測られる、と説かれた。

 教皇は、すべての人々が日々の糧を得て、尊厳のもとに生きることを目指す、世界食糧計画の取り組みに神の祝福を祈られた。

 スピーチの後、教皇は同機関についてさらなる説明を受けると共に、職員やその家族たちとの出会いを持たれた。

 

22 6月 2026, 21:56