武力では真の恒久平和は築けない、教皇、スペイン下院訪問で
教皇レオ14世は、スペイン訪問3日目、マドリードの下院議事堂に招かれ、スピーチを行われた。
議事堂への訪問で教皇は、上院・下院の両議長をはじめ、首相、憲法裁判所と最高裁判所の各長官、そして上院・下院の議員らおよそ500名に温かく迎えられた。
ローマ教皇がスペインの下院を訪問するのは、今回が初めてのこと。
議員らを前におこなった演説で、教皇は、ローマの司教、カトリック教会の司牧者として、司教や信者たちの一致に配慮するという任務はもとより、教皇庁と諸民族・諸宗教との対話、連帯、協力を促すという、自身に託された使命を提示。
こうした視点のもとに、教皇は、人工知能などのテクノロジーの発展がもたらす新たな世界において、人間の尊厳を擁護する必要をあらためて強調された。
そして、特にいのちと家庭の尊重、若者の育成と教育の重要性、移民問題に対する倫理的・人権的対応などの必要を説かれた。
教皇は、今日の世界が直面する深刻な精神的・文化的危機に言及。それは様々な形の暴力、分断、相互不信として現れていると述べられた。
そのためにも、教皇は、考えを異にする人々を尊重する公共の議論、交流を促進する制度、真実と和解を求める歴史的記憶、意見の相違に関わらず市民間の友好と相互尊重を保つ社会生活の必要を指摘。
国際レベルにおいては、平和実現のために、外交的な勇気、倫理責任、各民族のアイデンティティの尊重、国際法が定める平和的手段を通じての紛争解決といった、国家の義務に基づく未来像が求められると話された。
あらゆる戦争は、交渉能力や、国家間の正義の絆を認識する人類共通の良心の痛ましい敗北であり、武力は一時の沈黙をもたらすことはできても、真の恒久平和を築くことは決してできない、と述べられた。
教皇は、ヨーロッパを含む世界の諸地域で、国際情勢の不安定さに対応するために、再軍備が新たに目立ち始めている状況を憂慮。
これに対し、真の安全保障は、正義と、忍耐強い対話、国際法の尊重、戦争から得る利益よりも人々のいのちを優先する政策から生まれる、と話された。
また、教皇は、軍事分野における最新のテクノロジーや人工知能の開発において、厳格な倫理的監視の必要をアピールされた。
このほか、教皇は、社会における相互主義的文化の促進や、思想・良心・宗教の自由の尊重を平和構築に不可欠な要素として示された。
教皇は、スペインがそのルーツを忘れず、未来を見つめる勇気を持ち、出会い、文化、連帯、希望の地であり続けることを願われた。
