「希望を持つとは、参与すること」教皇、聖年巡礼者への謁見で
教皇レオ14世は、12月6日(土)、聖年の巡礼者のために、バチカンの聖ペトロ広場で、週末の謁見を行われた。
「希望」をテーマにした聖年のカテケーシスで、教皇は「希望を持つとは、参与すること。アルベルト・マルヴェッリ」をテーマに講話された。
聖書朗読に続く、教皇の講話の要旨は以下のとおり。
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聖書朗読
「すべての人の前で善を行うように心がけなさい。せめてあなたがたは、すべての人と平和に暮らしなさい。」
(ローマの信徒への手紙 12,17-18)
教皇の講話
親愛なる兄弟姉妹の皆さん
先日から典礼暦は待降節に入りました。この期間は、時のしるしに目を向けることをわたしたちに教えます。わたしたちと共におられる神、イエスの最初の来臨を思い起こし、イエスが来られるたびにイエスを認識すること、そして再臨に備えることを学びます。こうすることで、わたしたちはいつもイエスと共にいることができるでしょう。そして、ついに贖われた世界において、新たな創造の中で、イエスと共に、すべての兄弟姉妹たち、すべての被造物と一緒にいることができるでしょう。
こうしてイエスを待ち望むことは、受け身の行為ではありません。実際、イエスの降誕は、わたしたちと関わりを求められる神の姿を明らかにしています。マリア、ヨセフ、羊飼いたち、シメオン、アンナ、そして後に登場する洗礼者ヨハネ、イエスの弟子たち、そして主と出会うすべての人たちが、それに関わり、参与するように招かれているのです。
それはめまいがするような、大きな栄誉ではないでしょうか。神は御自身のストーリー、ご自身の夢に、わたしたちを巻き込んでくださるのです。それゆえに、希望を持つとは、参与することなのです。聖年のモットー「希望の巡礼者」は、あと一か月で消えてしまうスローガンではありません。それは生涯のプログラムです。「希望の巡礼者」とは、ただ手をこまねいて待たずに、参与しながら歩んでいく人々を意味するのです。
第二バチカン公会議は、時のしるしを読み取ることを教えてくれました。公会議は、誰も一人でそれを行うことはできず、教会において、多くの兄弟姉妹たちと共に時のしるしを読み取るのだと述べています。これらは、神のしるし、歴史的な状況を通して、その王国と共にやって来る神のしるしです。
神はこの世の外、生活の外におられるわけではありません。われわれはイエスの最初の到来において、わたしたちと共におられる神を現実生活の中に探し求めることを学びました。知性と心で、そして腕まくりで、神を探すのです。公会議は、この使命は、特別な形で信徒たちに託されていると述べました。なぜなら、受肉された神は、日々の状況の中でわたしたちに会いに来られるからです。世界の諸問題の中で、世界の美しさの中で、イエスはわたしたちを待たれ、わたしたちを巻き込み、ご自身と共に働くようにと招かれます。だからこそ、希望を持つことは、参与することだと言えましょう。
今日はここである人物を思い起こしたいと思います。それは、アルベルト・マルヴェッリという、20世紀前半を生きたイタリアの青年です。家庭で福音に沿った教育を受け、カトリック・アクションで育成された彼は、大学で工学の学位を取得し、第二次世界大戦中の社会生活に対峙しました。アルベルト青年は、この戦争を断固として非難していました。彼はリミニとその周辺で、負傷者、病者、避難民を救うために全力を尽くしました。多くの人々が彼のこの無私の献身に感銘を受けていました。
戦後、彼は市議会議員に選出され、住宅と復興を担当する委員会の責任者に任命されました。こうして、彼は政治活動に身を投じましたが、ある集会に自転車で向かう途中、軍用トラックに轢かれてしまいました。28歳でした。
福者アルベルトの生涯は、希望を持つとは、参与することであり、神の王国に仕えることは、たとえ大きなリスクの中でも喜びをもたらすことを教えてくれます。わたしたちが善を選ぶために確実で安穏な生き方を少し手放せば、世界はより良いものになります。これこそが参与する、ということなのです。
自問しましょう。わたしは自分の才能を生かす、何か良い活動に参加しているだろうか。奉仕活動をする時、神の王国を見つめる視線と息吹きを持っているだろうか。それとも、すべてがうまくいかないと不平をこぼしながらやっているだろうか。口元の微笑は、われわれの中の恵みのしるしです。
希望を持つとは、参与すること。これは神がわたしたちに与えてくださる恵みです。誰も一人で世界を救うことはできません。神でさえも、一人で世界を救おうとはされません。神にはそれが可能にもかかわらず、そうされません。なぜなら、一緒の方が良いからです。参与することは、イエスの再臨の時にわたしたちが永遠に仰ぎ見るであろうものを、わたしたちに表現させ、いっそう自分のものにしてくれます。
