ブラジル・ベレンで開催のCOP30に、レオ14世のメッセージ
第30回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)の首脳級会合が、ブラジル北部ベレンで、11月6日から2日間の日程で開幕した。
7日の会合で、教皇レオ14世のメッセージが、バチカン国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿によって読み上げられた。
「平和を育みたいならば、被造物を守ってください」。レオ14世はこのメッセージの中で、平和の構築と被造物の保護の間にある明確な関係を提示。
「すべての善意の人々による平和の追求は、神と、人間、すべての被造物との間に存在する、分かちがたい関係を共通に認識することによって、必ずしや促進されるでしょう」というベネディクト16世の言葉を振り返った。
この困難な時代、国際社会の注目と懸念は、主に国家間の紛争に集中しているように見えるが、その一方で、被造物に対する尊重の欠如、天然資源の搾取、気候変動による生活の質の悪化によっても、平和は脅かされている、という認識の高まりを教皇は指摘。
地球上のすべてのいのちを脅かすこれらの課題には、神から授けられたいのちの聖なる価値、すべての人間の尊厳、公共の福祉を中心に据えた、団結と先見性ある国際協力と多国間主義が求められるにも関わらず、残念ながら、集団的な利己主義、他者への配慮の欠如、近視眼的な視点といった、対極に向かう政治的アプローチや人間行動が見られる、と述べている。
「地球温暖化と同時に、武力紛争によって燃え上がる世界において」、相互責任と未来の世代への配慮を念頭に、自分だけの利益を脇に置き、共通言語と合意形成を模索する集団の努力を通し、他者の考えをも尊重する姿勢を持つことで、この会議が希望の光となることを教皇は望まれた。
レオ14世は、生態学的危機を「道徳的問題」と捉え、「発展途上国と高度に工業化された国々の関係において、新たな連帯の緊急で道徳的な必要性」を説いた聖ヨハネ・パウロ2世の環境問題への視点を回想。
同時に、10年前、回勅『ラウダート・シ』を発表し、「気候は、すべての人の、すべての人のための共通の財産であり、地球規模において、それは人間生活に不可欠な多くの条件と関連した複雑なシステムである」ために、すべての人が参与する生態学的転換を唱えた、教皇フランシスコのエコロジーへの統合的アプローチを改めて示した。
レオ14世は、この環境的回心が、人間を中心にした新しい国際金融構造の発展のきっかけとなり、すべての国々、中でも最も貧しく、気候災害の影響を受けやすい国々が、その潜在能力を最大限に発揮し、その国民たちの尊厳が尊重されることを願われた。
また、教皇は、個人・家族・社会・政治の各レベルでの決定が共通の未来を形作る理由を説明できる、生態学をめぐる総合的な教育の推進を助言。
今回のCOP30のすべての参加者らに、平和な世界を築くために、神から託された被造物を守りいたわる取り組みを期待された。
